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【番外編・２】 「あー、道徳。丁度良かった。これ、お土産」 次の日。崑崙に戻った太乙と玉鼎は、報告の為、玉虚宮に向かう途中で、道徳に会った。そして、手に持っていた、蕪の紹興酒漬けを手渡す。 「いいなー。二人揃って、新婚旅行か？」 「…新婚……」 冷やかしで掛けた道徳の言葉に、玉鼎はうろたえる。 「やだなぁ、道徳。今更、新婚旅行はないよー。それに、一応仕事だったんだよ」 太乙の方は、照れる様子もなく、道徳の言葉を、軽く流す。 「ははは。一応だろ。まあ、いいや。これ、ごちそーさん」 笑いながら、道徳は太乙達に礼を言った。 「……道徳の奴」 まだ顔が赤い玉鼎は、ぼそりとつぶやく。 「いいじゃない、今更」 太乙の方は、もう一泊延長し、楽しみだった事が出来たので、上機嫌だった。が勿論、それが玉鼎が顔を赤くする理由だった。 太乙の要求の元に、もう一泊した二人は、前日の日程をやり直した。 だが、今度は、太乙の状態が違う。二人は、仲睦まじい恋人として、一日を過ごした。 約束の通り、貸し切りにした露天風呂の中で、お互いを洗いあい、当然のように、そのままエッチになだれ込む。 太乙は、上機嫌で食事をし、その後夜の散歩と称し、二人で月明かりの元、“して”しまった。今度は、玉鼎が持ってきた“道具”まで使い、常には見ない太乙の嬌態を、玉鼎は堪能した。 「玉鼎の…すけべ」 「……うっ」 未だ顔を赤くしている玉鼎に、太乙が言うと、玉鼎は言葉を失い、更に顔どころか、耳まで赤くした。 「……何だ、本当にスケベな事、考えてたんだー」 太乙は“カマ”を掛けたつもりだったようだが、実際、あの時の事を思い出していた玉鼎は、太乙に言い当てられ、言葉に詰まった。 「そ、その……」 「いいよ」 そんな玉鼎に、太乙はこっそりと囁く。 「だから、また…行こう」 「…あ、ああ」 玉鼎は、太乙をそっと抱き寄せた。 「うーん。そんな植物は……しらないなぁ」 玉虚宮から戻った二人は、その足で終南山に向かった。あの、天帝が使った果物の正体を知りたいと、太乙が言ったからだ。 だが、天空城での一件を、雲中子に話してみても、彼はそんなモノは、記憶にないと言う。 「うーん。もしかして……」 しばらく考え込んでいた雲中子は、思いついたように口を開いた。 「天帝は、宝貝を使ったのかも、知れないね」 「…えっ？」 太乙は、考えてもみない事だったので、一瞬疑問の言葉を返した。 「他人の記憶を操作するような…宝貝。そう言うの…あるんだろう？」 「う…ん」 雲中子の言葉に、太乙は記憶を探るように、返事をした。 「だから、その果物は、あくまで君を眠らせる為だけに、使ったのかも知れないな。それだったら、いくつか心当たりがある」 「そうか……」 隣で、二人のやりとりを聞いていた玉鼎は、納得したように頷く。 「だから、天帝の所を離れて、効力がなくなって、太乙が元に戻ったのだな」 「……そうだね。そうと解れば……」 太乙は、にっこりと笑う。 「宝貝の仕業だと解っているなら、いくらでも対抗策はあるね」 「た、太乙！まさか、また、天帝に会いに行くのか？」 太乙の言葉に、玉鼎は慌てて聞き返す。 「ほら……だって、結局又……会いに行かない訳には…いかないし」 「そ……そうだな」 太乙が、天帝に会いに行った用事を考えれば、当然なのだが。 「今度は、逆に…ふふふふふ」 言いながら、太乙は、妖しげな笑いを漏らす。 「だが、そんな事をしたら、原始天尊様の面子を……」 「それは、大丈夫。第一、事の発端は、その原始天尊様なんだからねー」 「……」 まあ、教主が自慢などしなければ、こんな事には、ならなかったのだから、太乙の言う事は、もっともだった。 さっき、玉虚宮に報告に行った時も、太乙は遠回しに、教主にちくちくと嫌みを言っていた。 「面白そうだねー。私にも、協力させてくれない？」 一人で楽しそうに悪巧みを考えている太乙に、雲中子も口を出す。 「あ、それは……」 「それは、駄目だ」 返事に窮している太乙に、助け船を出すように、玉鼎が返事をした。太乙なら、やりすぎるようなら手綱を取る自信はあるが、雲中子は何をやらかすか、玉鼎には予想が付かない。平気で、天帝相手に、とんでもない人体実験をやりそうな気がする。 「そ、そうだよ。今度実験なら、又付き合ってあげるからさ」 太乙も、雲中子を宥めるように、付け加えた。 「……で？」 そのまま一緒に、太乙の洞府に戻ってきた二人は、ゆっくりとお茶を飲みながら、話をしていた。 「今度は、一年後くらいに伺いますって、書簡を出しといたからね」 「……また、天帝の所に、一緒に行けと言うのか？」 「……だって、守ってくれるんでしょ？」 ちょっと拗ねたような顔で、太乙は玉鼎を見つめる。 「勿論だ」 少しだけ方を赤らめ、玉鼎が言った。 おわれっっ(>_<)
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