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気になるアイツ
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「おい、Ｎ’ＥＸ」 外房と内房線が、揃って成田エクスプレスに声をかける。 先日、武蔵野線が言っていた『新幹線』と言う物が、どうも気になる。総武線の話で一旦は納得したのだが、武蔵野線の『速い』と言うのは、どの程度なのか、疑問に思ってしまった。まあ奴より早い路線は、いくらでも存在するし、脆弱路線の負け惜しみだと思っていればいいのだが。 「新幹線…って、知ってるか？」 成田エクスプレスは、成田から東京に至った後、大宮や横浜方面へとそれぞれ散っていく。各地からの、成田への利便性を考えた路線設定だ。その中で、横浜方面に行く途中までは、新幹線とやらと、併走しているはずだ。だから、その真相を彼が知っているのではないかと、外房と内房は考えたのだ。 「知ってますよ。あの、白い、変な形をした…」 「変な形？」 「こう…鼻が長いんですよ。みょーん…と」 成田エクスプレスは、顔の前に手で、その様子を表現した。 「何だそりゃ？電車は四角いのが、イケてるんだぜ。象かよ」 一同は、ゲラゲラと笑う。 「そんで、車体が白くて、ラインが入ってるんっス」 「白ぉ〜？最近の流行りは、シルバーにラインだぜ。そこもダセぇな」 ヤンキーにとって、外観は大事だ。そんな白い変な形の電車、恐るるに足りない。 「ただ……奴は、独自線路なんですよ」 すると、少し悔しそうに、成田エクスプレスが告げる。 「独自って…俺たちだって」 「違うんスよ。俺達在来と同じ敷地じゃなくて、わざわざ高架にして」 「高架ぁ？なにイキがってるんだぁ。Ｎ’ＥＸを見下ろすたぁ、いい度胸だぜ。どこのセレブだ」 そう言うと、一同の視線が、そこに居た、京葉線に集まった。 「何？セレブって僕のこと」 「お前はうるさいよ。せいぜい海辺を走って、風で止まってろ。この最弱路線が」 「最弱は、武蔵野だよー。大体、武蔵野が速いって言う事なんて、気にしなければ、いいじゃん」 「だからお前は黙ってろ」 奴に話を振ったのが間違いだったと、外房と内房は、もう一度成田エクスプレスに向く。 「で、肝心の速度はどうなんだよ？おめぇ西大井までは併走だよな？」 「…まあ、大した事ありませんね」 「おお！」 「奴の方が若干早いですが、そんなのは、奴の止まる駅が少ないからですよ。俺が本気出せば、あんな奴、メじゃないっス」 「おー！さすがだぜ、Ｎ’ＥＸ！お前より早い奴なんかいねぇ。何が新幹線だよ！」 一同は、沸き立った。 「いいのかよ。本当の事教えなくて…」 その様子を、途中から遠巻きにして見ていた武蔵野線が、ぼそりと呟いた。 「…黙れ。お前も三セク落ちにされたいか？」 やはり途中から、その光景を見ていた、総武線は武蔵野をにらみつける。 「…言うなよ」 「へ？」 「東海道上官に、言うなよ」 聞こえないように言う総武線に、突っ込むほど武蔵野線は勇気がない。 「言わねぇよ。つうか、怖くて言えるかよ」 あの、高みの存在の彼らに、ここでのやりとりを知られたら、何を言われるか解った物ではない。 「って言うかさぁ。営業距離550キロ越えを、三時間以内で走るんだから、考えりゃ解りそうなもんじゃねぇの？」 呆れたように言う武蔵野の言葉に、総武線は少し頬が引きつる。 「それは、言うな。武蔵野」 「何で？」 「ヤツらは、算数が出来ねぇ」 「……あー」 納得して良いのやら、それでも武蔵野は、それ以上の言葉は避けたのだった。 |
さくらとかが、擬人化なら、Ｎ’ＥＸを擬人化しても良いかな〜って。
因みに、ウチの武蔵野は、三角関数も微積もわかるんだよ。
面倒だから、計算しないけどね