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【２】 ＊ 太乙の言質を取った玉鼎は、下界に下りた。 そしてそこで、何やらを買い込んだ上、夜には丁寧に、太乙をベッドに誘った。 玉鼎の寝室に入った太乙は、開口一番、そう叫んだ。 そこには、いっぱいの灯りが溢れていた。部屋のあちこちに、蝋燭やオイルランプの灯りがある。それが部屋を、まるで昼間のように明るくしていた。 「……で、でも……ここで、やるのーー？明るすぎない？｣ 「約束したろう？それに、こういう明かりの中で見るお前は、本当に綺麗だよ」 「……」 玉鼎の言葉に気恥ずかしさを感じながら、太乙はキョロキョロと辺りを見まわす。この灯かりの洪水も、ただ居るだけとか、食事でもするのなら、素直に綺麗だと思えるが、これからここで……玉鼎とあんな事をするのかと思うと、やっぱり気後れしてしまう。 そうして、太乙が戸惑っていると、玉鼎が太乙の後ろに回り、服に手をかけた。 「……あ」 するりと肩から着ているものを滑り落とし、太乙の腕を抜く。太乙は、ローブのような簡単な着物を着ていたので、帯を解くと、それは簡単に脱げてしまった。 「ちょ……玉鼎……｣ 玉鼎は、一旦脱がした服を、もう一度太乙の肩にかけた。そして、その服ごと、太乙を抱えあげる。 「あ……」 何か言おうとする太乙の口に、玉鼎が口付けをする。 「…ん……っんん……｣ いつもの様に、熱く長いキスをされ、太乙はそれだけで、身体中が熱くなった。一旦離された唇が、しっとりと濡れているのを感じて、太乙は恥ずかしくなったが、玉鼎が更に口付けをし、熱い舌がさし込まれると、その感触に我を忘れた。 「……はぁ」 唇が離されると同時に、ベッドの上に降ろされる。肩から着物を掛けられているとはいえ、前がはだけ、白い肌が露になっている。太乙は慌てて着物を掻き合わせた。 「太乙……」 優しく呼びかけながらも、玉鼎は太乙の手首を取る。 「これも……約束だ」 そう言うと、玉鼎はどこからか、黒いリボン取り出した。それには、竜と唐草の地模様が、黒と金で織り込まれていた。 「えー……やっぱ……縛る…の｣ 少しばかりいやそうな口調で言う太乙に、玉鼎は頬に優しくキスをする。 「お前は……いいとと言ったろう？｣ 手首に、そのリボンを巻く。 「でも、綺麗なリボンだね。なんか……もったいなくない？｣ 「こんなのは、序の口だぞ。それに、お前を飾るのに、どんな綺麗な物でも、足りないくらいだ｣ 「そ、そんな……っ。…て、序の口って何？だって……」 太乙の抗議は、玉鼎によしよしと頭を撫でられて、終わってしまった。 玉鼎は更に、もっと幅広で、さらに綺麗な模様が織り込まれているリボンを、太乙の足首にかけた。 「ちょ……ちょっとぉ、手だけじゃないの？｣ 「そんな事は言ってないぞ。大丈夫だ。きっと、気持ちよくさせてやる｣ 「うーん……｣ 玉鼎は、太いリボンの真ん中辺りを、太乙の足首に巻き付け、軽く縛る。 「そうだ。先に……これを脱がせねば……な｣ 言うと、太乙の下着に手を掛けた。 「え、や、やっぱ、いやー。灯り……消してようー｣ 合わせたはずの着物を、はだけられ、明かりの中に自分の肌がさらされると、太乙はやはり恥ずかしくなってきてしまった。 「……そんなに明るいのが恥ずかしいのなら、いい物をしてやろう｣ 玉鼎は、先ほど足首に掛けたリボンを、少し短めに切ると、それを持ち、太乙の後ろに回った。 「え……ええ、そ、そんな事したら……見えないってばぁ｣ 玉鼎は、短く切ったリボンを、太乙に目隠しをするように、あてがう。 「だから、いいであろう？恥ずかしさが、減るぞ｣ 確かに、言われる通りだが、自分は見えないのに、この明るさの中、玉鼎だけが自分の裸を見るのかと思うと、太乙は身体を硬くした。 「太乙。もっと……いつものように…リラックスして……｣ そんな太乙の耳もとに、玉鼎が囁く。 「で、でも……見えないんだよー」 「そう言うが、お前はいつも、情事の時に目をつぶっているではないか。それから言ったら、変わらないはずだぞ｣ 「でも、玉鼎には……見えてるし……」 「……だったら、外すか？」 「……わ、わかったよ。いいよ、このままで｣ 観念したのか、太乙は玉鼎の提案を承知した。確かに、自分の所為でなく、玉鼎に目隠しをされたのなら諦めもつくし、恥ずかしくないと思ったのだ。勿論、この考えは間違っていたと、太乙は後で気が付く事になるが。 戸惑っている太乙をよそに、玉鼎は慣れた手付きで、太乙の下着を取り去る。 「ふふ。まだ緊張しているようだな｣ 「……あ……もう。そんな事…言わないでよー」 玉鼎は、萎えている太乙自身を軽く指で弾き、そんな事を言った。 そして、先程途中だった、太乙の足首のリボンを、ベッドの片側に、縛り付ける。 「え……ちょ…や、やだ……恥ずかしい」 当然、太乙の片足は広げられ、今、下着を脱いだばかりの下半身があらわになった。 「あ……！玉鼎！いやー……｣ 太乙の悲鳴を意にも介さず、玉鼎はもう一方の足も、同じようにベッドレストに括り付ける。そうすると、太乙の足は完全に開かれる格好となった。 その足を、何とか閉じようと、太乙は膝を付けようと力を入れる。括られた手も、下に降ろし、何とか玉鼎の視線から、恥ずかしい所を隠そうとした。 「おやおや。私に…見せてくれるのでは、なかったのか｣ 「だって、こ、こんな風にするなんて……」 玉鼎は太乙の手を取り、もう一度胸の所まであげさせた。そして、その腕ごと、太乙の上半身を、また別のリボンで、縛りあげた。 「あー、いやぁ」 太乙は、今自分がしている格好を想像して、悲鳴をあげた。これでは、自分の姿を、全て曝している格好になるではないか。 スルリと、玉鼎の手が、太乙の太腿の内側を撫であげた。それも、太乙は目隠しをされているため、玉鼎の行動の予見が出来ず、いきなりの感触に、身体中が反応する。 「感じている……様だな」 玉鼎は、自分が撫であげた場所に、唇を寄せる。 「ひっ……ああ」 玉鼎に揶揄され、更に突然の感触に、太乙は声をあげ、身体を捩る。それでも、玉鼎は太乙の腰を押さえ、再度そこに唇をすべらせ、愛撫する事を止める気配はない。さらに、空いた手で、逆の足を、撫でた。 「……ああっ……あ…ん｣ いつも与えられる感触との違いに、太乙はいつも以上に声をあげた。もっと言えば上半身は縛られ、脚を広げられたまま閉じる事も出来ず、玉鼎にいい様にいたぶられているのだ。その行為に、太乙はただ声をあげ、首を振るだけだった。 玉鼎の長い髪が、足の上を滑り落ち、それでさえ、太乙に刺激を与えた。 「玉…鼎……こ、こんな……いや……もう……｣ 「まだ、お前の敏感な所には、ひとつも触っていないぞ。それに……｣ 玉鼎は、顔をあげ、目隠しをされたままの太乙を見る。その唇が、喘ぐように開けられ、頬が紅潮している。 「……気持ち…いいのだろう？」 「そ……そんな事は……｣ 本当は、身体中がとても感じていた。見えない事が、その場所の感覚を鋭敏にし、縛られて、何も出来ない身体も、玉鼎に加えられる愛撫を、より感じる助けにしか、ならなかった。 「正直では……ないな」 薄く笑った玉鼎は、太乙の肩に手をかける。そして、まだ肩に掛かっていた着物を滑り落とさせ、そのまま太乙の上半身を、ベッドに寝かし付ける。 「あ……」 それは、起き上がっているよりも、もっと全てをさらけ出すような感じがした。だが、体力のない太乙には、このまま起きあがる事も出来ない。 そして、太乙は今のこの部屋が、いくつもの灯かりに照らされ、明るいと言う事を思い出した。今、自分が玉鼎に曝している部分は、彼の目に、とても鮮明に見えている筈だ。その事を思うと、太乙は消え入りたいくらい、恥ずかしさで、身体中が硬直した。なのに、この、内から沸きあがってくる感覚は、なんなのかと思った。甘酸っぱい、身体を駆け巡る、痺れるような感覚が、余計太乙を、感じさせた。その思いを止めたいのにも係わらず、翻弄されている自分が、恥ずかしかった。 玉鼎は、太乙の反応が、とても嬉しかった。 何よりも、ここまで彼に承知させるのが、大変だったのだ。 最初、自分が好きだと言うのにさえ、かなりの時間を要した。異性とさえ、そう言う事をするのが苦手な彼に、しかも、同姓の自分が、そんな感情を抱いているなどと、言うのも大変だったし、納得させるのも大変だった。 そのあと、そう言う関係になったものの、太乙がさせてくれるのは、いい所キスまでで、その先に進むのも、本当に大変だった。 それでも、玉鼎は本当に太乙を好きだったから、辛抱強く待った。その、玉鼎の真摯な態度に感激した太乙が、やっと、こういう事を許してくれるようになったのだ。 それでも、太乙は“スキモノ”ではないから、中々それ以上に、進まなかった。だが、太乙と寝た玉鼎は、彼がすばらしい身体の持ち主である事を、見抜いていたし、仕込めば、お互いすばらしい感覚を共有出来ると思っていた。 だから、先日、あんな事を言い出したのだ。 いきなり、すごい事を言えば、それ自体には拒絶反応を示すが、少し要求を下げれば、実際はそれがすごい事でも、受け入れやすくなる。交渉術の定石だ。 そうやって、玉鼎はここまでこぎ付けた。 そして、太乙の反応は、想像以上だった。快感に耐えるその姿も、可憐で可愛く、そして淫らだった。 玉鼎は、太乙の身体の下敷きになっている着物を取り去る。 「本当に…綺麗な身体だ。嬉しいよ。明るいから、お前の肌が色付いているのまで、よく見えるし……｣ 「あ……玉鼎。取って……目隠し…取って……｣ 「おや、いいのか？灯りはまだ…点いたままだぞ｣ 「……う」 「だから……ここも、よく見える」 玉鼎は、太乙の中心の辺りを、しかも、太乙自身を避けるように、指で撫でた。 「いやー。や、やめてぇ」 「こんなに……なっているのに？」 玉鼎は、また顔を太乙の下半身に近づけ、脚の付根の辺りや、太腿を、唇と舌で愛撫した。 「あっー…ああ……｣ 止めようとしても、手が縛られたままなので、太乙は口を塞ぐ事も出来ず、声をあげ続けた。 「太乙。いきたいか？」 「…ああ、そ……そんな…こと…｣ まだ、後ろにも触られていず、勿論、太乙自身にも触れられていないと言うのに、太乙のモノは天を向いていて、玉鼎の指摘する通り、今にもいきたそうだった。 「そうか」 太乙の言葉を受け、玉鼎はまた愛撫を再開する。目の前で揺れる太乙自身が、先から透明な液を滴らせていた。 「う……くっ」 本当は、太乙はこんな格好にされた事に、もっと抗議をしたかった。だが実際、唇から漏れるのは、よがり声だけだった。 「こちらも……濡れている…な｣ 玉鼎は、太乙の太腿の下に、それぞれクッションを入れ込み、すでにうっすらと濡れている秘部をあらわにする。 「ああ……いや…」 太乙は、同じ言葉ばかりを繰り返す。感じている下半身が震え、かわいらしいピンクの口が、ヒクヒクと誘うように動いていた。 「これなら……濡らさなくても…入るのかな」 いつもなら、玉鼎はそこを濡らすための薬を使う。そして、指で何度も慣らし、指が二本は入るようになってから、玉鼎は自分を埋め込むのだ。だが今は、太乙のそこは、すっかり濡れぼそり、部屋の灯かりに、光っていた。 「……あぁ。そんな…だめぇ……」 「……そうか。では……｣ 太乙の嬌声を勝手に解釈し、玉鼎は自分の指を、太乙の唇に当てる。 「あっ」 突然の感触に、太乙は軽い声をあげた。こんな風に、玉鼎が次に何をするかわからないから、ちょっとした事に、身体が反応する。それはとても新鮮な感覚で、確かにいい刺激ではある。だが、この恥ずかしさは、如何ともしがたい。 「濡らしてごらん。痛いのは、嫌いなのだろう？」 玉鼎の声は、あくまで優しい。その求めに応じるように、太乙は口を開け、玉鼎の指を咥える。そして、言われるままに、その指を濡らす。 玉鼎の指が、糸を引く様に太乙の口を離れ、そのまま、彼の秘部に、差し入れられた。 「あ……ああ。ぎょく……て…｣ 予期していた事とはいえ、その感覚に、太乙は歓喜の声をあげる。その声につられ、玉鼎は更に太乙の内部を、蹂躙する。 「ぎょく……てい…ああ、だ…めぇ、すごく……いい……あああ！｣ 既に、言葉にならない悲鳴をあげ、太乙が玉鼎の指を締め付ける。 その様子に、玉鼎は更なる満足感を覚え、ゆっくりと指を引きぬいた。 「太乙……綺麗…だよ」 そう言って玉鼎は、太乙の脚を縛めていたリボンを外し、脚の間に入った。そのまま、太乙の中に、己の欲望を、ぶち込む。 「あっ……ああ！」 いつもにも増して、太乙の嬌声が響き、玉鼎も、自分の欲望を押さえきれなくなってきた。 「太乙……太乙。愛しているっ。太…乙……｣ 何度も、恋人の名を呼ぶ。 何度も腰を動かし、太乙を抱きしめる。そして、太乙に施してあった、目隠しを外した。 そこには、いつも以上に、感じている太乙の表情があり、勿論、いつも見れないはずのそれは、鮮明に玉鼎の眼前にさらされていた。 太乙の方も、今や、自分の表情が、玉鼎の前に露にされている事など、思いも付かず、ただただ、玉鼎が与える快楽に、翻弄されつつも、それを享受するのみだった。
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