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太公望がやっと太乙を、コントロールルームの台に、戒め終わった頃には、何度も繰り返した口付けの為に、太乙は少しばかり、桜色に染まっていた。 時折漏れる吐息が、太公望の気持ちを、揺さぶった。 「太乙……」 かすれた声で、彼の名を呼ぶ。 少しだけ背伸びをして、髪に口付けた。 「太公望？」 「したくなった……のう」 「……ちょっ！」 いくら抗議の声を出しても、この状態では、なすすべもない。それでも、太乙は必死に、太公望を諌めようとした。 「もう！何考えてるんだよ！これから……」 「お主の事」 臆面もなく、まるで言葉の最後に、ハートを付けられそうな様子の太公望の言葉に、太乙は更に赤くなる。 「って、どうやってする気なんだよ」 仕方なしに、別の方法で、彼の目論見を中止するべく、太乙は言葉を重ねる。 「まあ。任せておれ」 その言葉にも、少しも自信を崩すことなく、太公望は太乙の後ろを、まさぐり始めた。 「あっ！太……」 まもなく、どうやったのか、すばらしく器用に、太公望は太乙のズボンを、途中まで引き下ろしてしまった。 「もう！解けちゃったじゃないか」 見えないものの、感触で後ろの様子を察したのか、太乙は文句を言う。先程、太公望が縛り上げたリボンは、太乙の腰から下に纏わり付いていたそれが、少し緩んでしまった。 が、心の中では、こうなった太公望に、何を言っても、無駄なことも、解っていたが。 「太乙」 そうやって、彼を抱く用意をした後、太公望は、再び、太乙にやさしく口付ける。 「ん……」 先程、何度も口付けられ紅く染まった唇は、更に艶を増し、何時もの甘い吐息が漏れる。 「誰か来たら、どうするの？」 今更、太公望を止めるつもりなどないが、つい気にかかり、太乙は言った。 「それは、こんなところに……こんな時間に来た奴が、不運だったのじゃ」 まあ、今や空には、降りそうなほどの星が瞬く、真夜中で、ここは、普通は用のない、コントロール・ルームなのだが。 相変わらずの、自分勝手な論理を展開し、太公望はその議論に終止符を打った。 もう一度、軽くキスをし、太公望は、太乙の後ろに回った。 「太公望？」 不安そうに、太乙が声をかける。 「あっ……」 次の瞬間、太乙から嬌声が上がる。 「そっ、そんな……太公……！」 太乙の後ろに回った彼は、太乙の上着の後ろの部分を上にあげ、太乙の上半身に掛かっているリボンの、まだ緩んでない部分に、挟み込んだ。そして、露になった太乙の秘部に、唇を寄せる。 動かない体を、せいいっぱい突っ張り、太乙はその感触から逃れようとした。当然、それは叶わず、彼の内部には、太公望の体液で塗れた暖かいものが、刺し込まれる。 「……はっ、い……やぁ」 何時もと違う暖かい感触と、恥ずかしさに、太乙は何時も以上の甘く、切ない声を出した。 「太……公望……んっ」 後で、彼を傷つけないようにという、太公望の心遣いは、その考えとは別の効果をもたらした。更に縛られた身体は……たとえそれが、その目的でないにしても……太乙に別の感覚を覚えさせる。 何時もなら、恥ずかしさにその口を塞ぐ己の手は、自らの体の横に、止められたままだった。 「太乙」 たちあがった太公望が、耳まで赤くなった太乙の顔を覗きこむ。 そして、飲み込みきれなかった太乙の口の端から流れるものを、その指で掬い取った。 「んっ」 そのまま、太乙の開いた口に、指を飲み込ませる。 「はぁ……ん」 さすがに、脱がすことが出来なかった上半身の、首筋から……胸から、そして、その薄い布しか覆っていない脇腹へと、もう片方の……それは、太乙の作ってくれた、義手だったが……やさしく愛撫した。 そして太乙は、自分の口腔内を犯すその指を、とても大切なもののように、舐める。 その様に、逆に太公望は、自分が犯されているような錯覚に陥った。 「太乙……」 彼の耳朶に口付け、指を、太乙の中をかきまわすように、引き抜いた。 「あ……」 本当は、もっともっと……太乙が望むところはすべて、触れてあげたかった。だが、この状態では無理な相談だ。だから、何時も以上に、丹念に彼の中を濡らし……慣らす。 彼が、苦痛を感じないように。 「相変わらず……熱いのう」 太乙の中に、途中まで飲み込まれた太公望の指は、火傷しそうなほどの、熱を伝えていた。 指の先で、太乙の中をかきまわし、擦りあげ、更に奥へと進める。 「あ……ん。も……っと」 先程の、すこし嫌がる風を見せていた太乙の声は、完全に太公望の手管に、溺れてしまった。 「解っておる」 その変化を楽しむ太公望は、うれしそうに、太乙をなだめる。 決して、自分の前でしか出さない甘い声を、もっと楽しみたかった。 太公望の指は、今やすっかり、太乙の中に飲み込まれてしまった。その最奥で、指の先がうごめく。 「あ……は、んっ。い……い、あっ、もっと」 もはや、臆面もなく、太乙は太公望の行為を享受し、あられもない声をあげる。それを、太公望が好きだと、知っているから。もう、誰かがこの扉の外に、いるかもしれないなどと言う心配は、太乙の頭の中には、なかった。 「あっ……」 ゆっくりと、太公望の指が、入り口近くまで引き抜かれると、太乙が軽い抗議の声をあげる。 だが次には、太公望の指が二本に増やされ、更に太乙の中を、掻き回した。 「あっ！あ……ん、たい……」 服の上から、背中に口付けし、もう片方の空いた手で、太乙の前を愛撫する。 静かな部屋に、太乙の艶めいた声と、太公望の指が作り出す、淫靡な音が響く。 ここの所、殷は落ちたといっても、太公望も忙しかったし、何より太乙は、この崑崙山２の製作に掛かりっきりだったから、こんな風にゆっくりすることがなかった。その“久し振り”のことにも、太乙の身体は、何時も以上に、反応していた。 「あ……たいこ……う、ぼ……もっと、して」 太乙の口元が、怪しく濡れ、秘部はもう我慢しきれないという状態になる。 「太乙……」 いとしげに名前を呼んで、太公望はその指を抜いた。 「あん……。あっ！ああー！」 そして、太乙の身体が期待している通りに、自身を彼の身体に、埋め込んだ。 「あっ！い……い……×○※∞」 すでに我を忘れて、太乙は、細い首をのけぞらせ、太公望を、いやというほど締め付ける。 「た……太乙！も、もう少し……」 早々に我慢できなくなった太公望が、太乙の名前を呼んだ。 「ん……だって……」 少し正気に戻った太乙が、太公望の声に答えた。 「すごく…気持ち……よく……て」 切れ切れの息の中から、太乙が答える。 「あ……あの」 「そうじゃな」 にやり……と、太公望が笑った。 「別に、一回だけではいけない……ということは、ないからな」 「たっ！」 一層赤くなった太乙の抗議の声は、太公望が与える刺激の前に、また、喘ぎ声に代わってしまった。 「太乙……」 やさしいキスと声で、太乙が目を覚ます。 見ると、すっかり身支度は整えられ、後は、もう一度そのリボンで、縛め直すだけとなっていた。 「たーいーこぉーぼぉー」 精一杯の地を這うような声で、太乙が名前を呼ぶ。 「おっ、お主だって、いいと……」 わたわたと、言い訳をする太公望に、太乙は『フンッ』という返事で、応酬する。 「まっ、いいよ。とにかく、君が結びなおしてよ。そうだ、もうひとつ、頼みがあるんだけど……」 相変わらずの淡白な性格のせいか、太乙は太公望をそれ以上責めなかった。 「そこにある、薬……。飲ませてね」 「太乙……これは」 一瞬。太公望は言葉を失う。それは、先日の戦闘で使った、仙桃エキスの錠剤だった。しかも、そこには“ＳＰＥＣＩＡＬ”の文字があった。 「ほら。私のエネルギーだけでは、足りないから」 「太乙！しかし、こんなものを飲み続ければ……！」 「でも、こんなことでしか、私は協力できないし……」 悲壮な面持ちで言う太乙に、太公望も、それ以上反論できなかった。 「ほれ……」 そう言って、太乙に口移しで、飲ませる。 「今だけじゃぞ」 この、二人きりの時だけは、こんな風に、飲ましてあげられる……と、太公望は、珍しく照れながら、言った。 「何言ってんの。君は、何時だって……」 『他人に甘いじゃないか』と、太乙も珍しく、非難をした。 「でも……」 その先の言葉は、不意にされた口付けで、言うことは出来なかった。
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